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建物(木材)が腐る~30年で建替えはもったいない北広島営業所

2017.08.22


 北海道の木造住宅は寿命が短いといわれています。
平均して築40年未満で建替えるのが一般的。
築30年程度で建替えている物件も珍しくありません。
なぜその程度の築年数で建替えが必要になるのか。
理由の第一位は「構造の一部が腐るから」。
腐る原因はいくつかありますので説明させてもらいます。
木材が腐ることを「腐朽(ふきゅう)」といいます。
皆様にはなじみのない言葉になるでしょうが、記事内では腐朽と書かせていただきますのでご了承ください。
(写真出典元:北海道林産試験場HP「旭川市築30年の木造住宅屋根部」)



【腐朽の原因】

 最近ではシロアリ被害もありますが、建物がダメになる一番の理由は構造材が腐ってしまうこと。
専門用語で「腐朽~腐っていたむこと」する、といいます。
原因はズバリ「腐朽菌」。
木材が腐食する原因は「腐朽菌」の繁殖によるものです。
それ以外の原因はありません。
木材が腐るのはバクテリアが食べるからだとか。
湿った木材にカビが生えて腐らせるとか。
適当な話をしている同業者がウヨウヨいますが実はそれはすべてウソ。
木材を腐食させるのは腐朽菌のみです。
(写真は枯れ木についた腐朽菌。やがて死んだ樹木は腐って倒木します)

【腐朽菌とは】

 腐朽菌と呼ばれる菌にはキノコも含まれます。
床下で繁殖するナミダタケは有名ですが、腐朽菌の仲間には「しいたけ」「舞茸」「エノキ」「ナメコ」などの食用キノコ腐朽菌の仲間。
褐色腐朽菌と、白色腐朽菌の二種に大きく分けることができます。
腐朽させるパワーは褐色腐朽菌の方が強く、白色腐朽菌と比べると短期間で木造建築に大きな被害を出すのは褐色腐朽菌になります。

腐朽と言っても菌の視点からすると「食事」に過ぎません。
木材に含まれる成分が彼らのえさになるということ。
リグニン、セルロース、ヘミセルロースの三種類がそれにあたります。
リグニンは白色腐朽菌にしか分解できない成分。
野外において木材がいつか朽ちてしまうのは、最終的には白色腐朽菌によるもの。
セルロースやヘミセルロースは褐色腐朽菌が分解しますが、そこで二次的に発生するリグニンは白色腐朽菌が分解します。
セルロースを分解できる酵素を人類が獲得できれば、一気に食糧問題が解決するといわれています。
鹿はセルロースを分解することができるようで、樹皮などを冬場食べることで樹木が枯れる被害が発生するのを知っている人もいると思います。
腐朽菌は難分解性の成分を分解する能力を持つことで生き残ってきた強い菌だといえます。

蛇足ですがカビもえさがなければ繁殖しません。
カビのえさは有機物。
食料やその残渣(ざんさ)。
風呂場で繁殖するのは、石鹸カスや体から落ちた汚れがえさになります。
衣服にカビが生えるのは、繊維内のたんぱく質がえさになるケース。
適度な水分があればたんぱく質(セルロース)を分解するためにカビが生えます。
繊維にはカビは発生しても腐朽菌が発生しないのは、セルロースの含有量の違いのせい。
腐朽菌は大食漢なので、服の布地に含まれる程度のセルロースでは繁殖できません。



【腐朽する部位】

 一般的に木造住宅の腐朽する部位は決まっています。

土台。

窓周り。

屋根下地。

この三つのうちのどれかにほぼ決まっています。
どれも構造上重要な部位なので、これらが腐ることで「耐震性の低下」「構造強度の低下」「建物の低寿命化」に影響します。
リフォーム工事で壁や床をばらした後で発見されることがあります。
その時は着工後に部分交換による割り増し工事になることがあります。
事前に発見できないのには理由がありますが、壁の中、床下、天井裏など普段目に付かない場所なのでやむを得ません。
構造が腐ることで上から化粧をして直すこともかなわないケースも出てきます。
俗に言う「釘が効かない」状態。つまり、くさって軟弱化しているため、金物が固定できない状態。
土台や柱などの構造材の交換工事は割高についてしまうため、もう少しお金をかけて建替えてしまおうというパターンになることも多くなります。
その結果築30年程度で建替える住宅が多いという言い方もできます。

土台、窓周り、屋根下地は普段人目につきません。
改修工事などで「あれ?釘が効かないぞ」なんて工事中に発覚することも珍しくありません。
見つかったときには時遅し。
高額な改修工事になったと気づいた時には手遅れなのです。
(出典元:北海道林産試験場HP ドライバーが刺さるくらい軟化しています)


【腐朽菌発生の原理】

 腐朽の怖さはいちいち説明するまでもなかったかもしれません。
ではなぜ腐朽するのかについて、もう少し詳しく説明していきたいと思います。
腐朽菌の胞子はごく普通に、空中を漂っています。
ぴんとこないかもしれませんが、私が普段普通に呼吸することで、胞子の一部は吸い込んでいるはず。
今日も外を出歩いていたとしたら、必ず肺には吸い込んでいる腐朽菌があったはず。
実はそのくらい、一般的に空間を漂っている菌です。
それは空気が存在する場所なら、どこへでも胞子が飛んでいくことに他なりません。
気密性の高い建物は腐朽対策として考えても長所を持っているといえます。

腐朽菌が定着して、腐食を始めるには一定条件が必要になります。
水分、温度、木材含水率が揃わないと発生しません。
木材含水率が20%以上。
温度が20度~30度。
20度以下だと休眠状態になり、30度以上では生きるので手一杯になり繁殖しません。

空中を漂いどこにでも存在する菌が、湿った木材に付着します。
一定の水分と温度環境下だとそこに着床し、繁殖を始めます。
繁殖時に栄養分にするのがリグニン、セルロース、ヘミセルロースという成分。
その成分が存在し続ける限り、それらを酵素で分解し、栄養分として吸収します。

この発生原理からもわかるとおり、北海道では気密性の高い住宅を作らなければなりません。
なぜなら、構造に触れる部分に腐朽菌が飛んでくるような作り方ではいつ木材が腐り始めるかわからないから。
対策としては構造材がずっと乾燥し続ける環境をつくることでしょうか。
セルロースを分解するためにはどうしても水と酵素が必要なので、含水率の低い乾燥した木材では繁殖できません。

腐朽菌が繁殖して木を腐らせる場所が土台、窓周り、屋根下地となりやすいのは発見遅れるため。
万が一構造材が含水する状態が続いた時に、腐食が発生する環境となり、後は時間の問題。
そこが温床となったときにはつながっている構造は連鎖的に腐朽の対象となり、季節が移り変わるごとに腐朽するエリアが増えていくことになります。



【含水する原因】

1 屋根からの漏水
2 窓周りからの漏水
3 窓の結露が浸透したことによる内部からの浸水
4 洪水などの災害による構造材の水没
5 通気基礎特有の結露発生による吸水

「屋根からの漏水」はわかりやすいですよね。
北海道は冬に水分が凍結します。
屋根表面などで凍結した水分は、板金の接合部をめくりあがらせたり、隙間を作ったりします。
そのような部位からわずかな水分が浸入すると二次的に隙間を広げさせ、やがては大きな漏水災害の原因となります。
本記事の画像がまさにそれ。
屋根下地部の構造が吸水したことで、腐朽が始まったと見られます。

「窓周りからの漏水」
これは外部の外壁と窓の間から進入してくる水分がほとんど。
コーキングで防水をしますが、築5年以上たつと隙間が発生する可能性が出てきます。
コーキングメーカーは防水部のコーキングの品質保証をしてくれません。
あくまでも施工した会社の責任で、良いところ1年保証がやっと。
後はオーナーさんの自己責任になります。
ただし、窓周りのコーキングが切れたからといって、直ちに構造に漏水するわけではありません。
通気層を伝って外部に落ちるように作っていますし、防水テープなどで隙間をふさいでいます。
長い年数が経つと、それでも漏水は発生することがあります。

「窓の結露が浸透したことによる内部からの浸水」
 冬場、窓の下部に結露した水が溜まっているのを見たことがありますか?
あれはそのままにしておきますと、窓と窓台の間に浸透して、ひいては窓周りの構造材を含水させ腐朽の原因となります。
外壁にお金をかけて手入れをしていても、内部結露をそのままにしおけば無意味。
季節を繰り返すごとにダメージは蓄積していきます。
最悪な状態に気づかずに使い続けると、築10年持たずに窓周りの構造材が腐り始めます。

「洪水などの災害による構造材の水没」
 これは床上浸水以上の災害になるでしょうか。
水没期間にもよりますが、構造によっては含水のみならず、集成材の強度低下など深刻なダメージになりかねません。
通気層が確立されており、建物が乾燥しやすい構造とそうでない構造もダメージの出方は違います。
水が引いた後にちゃんと乾燥すれば腐朽を避けることができますが、長期間20度以上が続く状態で含水することを考えるとぞっとします。

「通気基礎特有の結露発生による吸水」
 最近は基礎断熱が多くなってきましたが、まだまだ床下換気を採用してる建設会社も多いです。
床下換気を採用している会社の共通点は次のとおり。

・防腐土台を使っている

・床下に外気が入るため、温度差による結露発生の原因となる

防腐土台は一定間隔で穴を開け、防腐剤を注入している建材。
含水と乾燥を繰り返すと、中に含まれていた防腐剤はやがて効果が減少し、時間はかかりますがやがて腐朽することになります。

床下に外気が入ると、それだけで寒暖の差による結露は発生する可能性があります。
基礎部のコンクリートは親水性。
水玉になる結露はしないのですが、温度差で生じた湿気は接している木材が吸収します。
外壁や屋根からの漏水が土台まで届いて含水することが圧倒的に多いのです。
そのような事故的な原因でなくても使っている間に含水率が高くなり、やがて腐朽するのは定説になっています。


【原因の解決】
 
 腐朽しない住宅を作るためには、いくつかポイントがあります。

・外部漏水を予防する。

・窓が室内側で結露しないように、暖房、換気、高断熱サッシのバランスの良い家にする。

・災害で浸水しても乾燥すれば元通りになる仕様にする。

・基礎断熱にして、基礎部に外気が直接触れないことで土台周りの結露吸水を予防する。

これらの条件が揃うことで腐朽の最大限の予防は可能になります。



【まとめ】

 原因の解決方法はわかったとしても、これら条件を満たした住宅はどこの会社に頼めば良いのか。
ユーザーにとってはそれが一番の問題だと思います。
これら腐朽を予防する条件については、国土交通省にも規定はなく、建築業界でも一般的ではないからです。

 断熱性能の高さを自慢するハウスメーカーでも、これらの条件が揃っている会社は見当たりません。
保証期間である10年を超えることができるならば、その後腐朽するような住宅を販売しても違法ではないのも理由のひとつでしょうか。
消費者にとっては重要な事実なのですが、対策にはある程度コストが必要。
違法な建物でなければ売ってもかまわない、という考え方ならそういう住宅もアリなんでしょうね。


良い住宅を普及する。のが目的のはずなのに。

良い住宅が腐朽する。ではオチが悪いですね。


基礎断熱は北海道ならではの知恵。
家を暖めるだけではなく、長持ちさせる知恵としても見直してほしいと思います。
いずれにせよ住宅ローンの返済中は過剰なリフォーム工事費が発生しない住宅を提供したいものです。
もちろんイゼッチハウスならこれらの腐朽対策もバッチリ!
末永く住宅資産の価値が維持できます。

ご興味のある方は、お気軽に
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