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短期集中連載第3回「ストック市場のロードマップから読み解く、新築時抑えるべきポイント」札幌本社

  • 奥林洋樹
2017.07.20

短期集中連載第3回目の更新を行いますイゼッチハウス 奥林です
冒頭から余談となりますが、イゼッチグループとして初となる宿泊体験型常設モデルハウスが北広島市共栄町4丁目12-4にてOPENいたしました


フルZEH仕様の4LDKとなり、床土間冷暖房や太陽光発電システム搭載(ZEHなので当たり前ですが)のゼロエネルギー住宅となります。
実際に太陽光発電システムの発電効果がHEMSで確認することができ、ご自身のライフスタイルに併せたエネルギー収支予測の参考にもなります。
事前予約制となってはおりますが、常設展示モデルのご案内はいつでも対応出来ます。
また宿泊体験(要予約、詳細はイゼッチハウス営業部まで)も出来る展示場となっております。外観からは分からない工夫が満載の北広島ZEHモデルを、どうぞご覧下さいませ。イゼッチハウス北広島スタッフを始め社員一同心よりお待ち申し上げております(以上、自社PR)


さて本題
まずは前回までのおさらい
国交省主導によるインスペクションや経産省によるZEH義務化は、性能の裏付けがある住宅(基本性能が一定以上の水準を満たす住宅 ZEHであればUa値0.24[W/㎡k]を満たし、かつハイブリッド基準を満たした設備機器を採用する事により暖房給湯負荷も削減される住宅の事)のみを新築する事とし、中古住宅においてもインスペクションの裏付けのある住宅のみで市場形成する事により、良好なストック産業が形成される事を目的としている。
建築業界の管轄省は国交省である事については皆様ご存知かと思いますが、ZEHの管轄は経産省となっています。
その背景には京都議定書、パリ協定による世界規模の温室効果ガス削減が趨勢であり国際間協定を達成する為には企業部門の努力義務だけでは成り立たず、今も上昇を続けている民生部門の削減率を引き上げがを達成する事が急務であり、エネルギー事業管轄省である経産省が主導権を取り采配しています。

風説ではありますが建築業界寄りの国交省主導ではZEH義務化までのロードマップに支障を来すのではないかと言う懸念や、再生エネルギーが及ぼすエネルギー事業者との軋轢をさばけるのが経産省であるとしたのか、経済影響の余波を懸念しての振り分ではないのかとの意見も出ています。


国交省主導で平成18年に制定された住生活基本計画の目標4(住宅すごろくに代わる住宅循環システムの構築)詳細にはインスペクション、住宅瑕疵保険等を活用した品質確保やインスペクションを行う事が出来る人材育成(インスペクター養成)非破壊検査活用による検査の質の向上を主命題として以下の様な具体策が策定されています。

   住宅性能表示、住宅履歴情報等を活用した消費者への情報提供の充実
   消費者が住みたい・買いたいと思うような既存住宅の「品質+魅力」の向上
   既存住宅の価値向上を反映した評価方法の普及
   長期優良住宅等の良質で安全な新築住宅の供給
   住宅を担保とした資金調達を行なえる住宅金融市場の整備・育成

   つまり良質かつ高性能な住宅新築を推進していく事により、優良な中古市場を構築し、適切な保守計画  (インスペクション事業)により世界標準のストック市場を形成すると言った目的が見えてきます。


経産省主導のZEH補助金の現状ですが
本年度のZEH補助金は戸あたり75万円(抽選方式)となっています。
現在二次公募まで申請が受付されていますが、補助件数に対しての申請件数は35%程度となっています。  
つまり、申請要件さえ満たしていれば補助金は必ず受けられると言う事になります(具体的な公表実績は以下)
1次公募 補助件数3700件程度に対して申請件数1299件
2次公募 補助件数3700件程度に対して申請件数1230件
75万円の補助金がほぼ確実に貰えるのに、何故このような現象が起きるか

ZEH申請や補助金支出に要する申請書、報告書や添付する写真などの書類が膨大であり、しかも補助金採択者は個人であっても事業者として登録され、一定期間毎のエネルギー収支報告書の提出が義務付けられる(施主自身に報告義務が発生する)
建築業者の思惑としては、1件ならいざ知らず複数件のZEH補助金申請の処理を行うには専任の担当者を置くか、もしくは代行業者にアウトソーシングしなければとてもじゃないが対応出来ない、と言うのが本音です。
申請のやり取りをしていても、本当にこの人達は民間の為に補助金を支出しようという気持ちがあるのか、と疑いたくなるほど事務的です。

実際にZEH申請を一通り経験はしてみましたが、個人的な見解として補助金75万円に対して、同額程度の申請手数料を頂戴しなければ費用倒れになりかねないと思っています。
ここまで申請書類が煩雑でありシビアなのは、ZEH補助金の申請業務を行っている環境共創イニシアチブが体面上 一般社団法人とはなっていますが経産省直轄であり民意では無く公務に忠実だからなのではないでしょうか
申請書類は全て、漏れなく綺麗にファイリングされ(ファイリングも業者が行わなければなりません)写真も取り決められた角度から指定枚数をきちんと確認出来る様、鮮明に撮影し貼り付けを行います。
使用品目ごとに納品書や性能証明書、設置機器の品番が確認出来る様に写真を添付する事
等々、細かい条件が義務付けられています。
ひょっとしたらですが、ここまで煩雑な申請書類なのは経産省の高度な戦略なのではないかと考えてしまいます。
我々建築業者はこう考えます
 
「ZEH住宅は時代の趨勢なので建築したいが(建築しなければならないが)補助金申請は割りに合わない。通常業務と併用して行えばスタッフのオーバーワークになる。専任の担当者を雇えば人件費が嵩む。それなら、みなしZEH(ZEH要件は満たしており補助金申請が出来る内容は具備しているが、敢えて申請を行わないZEH住宅の事。ちなみに基本性能を満たし、かつ省エネ設備を搭載しているが創エネシステム未搭載の住宅はRadyZEHと呼ばれています)にしよう」

経産省はZEH啓蒙活動が達成され、2030年完全義務化が達成されればそれで良いわけで、煩雑な申請書類の審査業は環境共創イニシアチブに委託、環境共創イニシアチブはファイリングまで含めて全て申請業者に行わせるので書類審査のみに集中すれば良い。
これだけ煩雑な書類であれば、補助金額を段階的に下げていけば申請する業者も減るが、目端の利く業者は将来を見据えてZEH仕様の住宅建築を行うだろうと言う推測
ここまで将来を見切っているとしたら、さすがのロジック
民意を舐めているとしか思えない、役所体質の面目躍如鵜
さすが経産省と、個人的には思っています。

閑話休題

個人的鬱憤はさておき、前段までの展開から経産省と国交省の交わりの構図が見えてきます。
欧米諸国に追随したストック産業の構築
背景には新築住宅建築は高性能高気密省エネの住宅のみを認可し、それ以外は建てさせないという基本ルール。
当然として前述の建築物は二酸化炭素排出量が低く抑えられ、民生部門による排出量削減効果が期待できる。そして優良住宅によるストック市場が形成されれば、諸外国並みの中古市場が構築される。
一定性能を有していない既存住宅については断熱改修リフォーム等に対して補助金を拠出し、工事を行った住宅の性能を向上させると共に、インスペクターによるお墨付きを与え、中古市場における流通競争力を高める。不必要なのは性能で劣る「普通の家」や求められる性能を有していない新築住宅であり、それらの建物は中古市場においても保護されず淘汰されるのは自己責任である。
非常に分かり易いロジックである。
今回のブログタイトル「ストック市場のロードマップから読み解く、新築時抑えるべきポイント」のご説明は、実は前述の閑話休題以降の文章に集約されています。そうなるとそれ以前の文章が焦点にズレになっているかの様ですが、背景にある現状を理解する事は大切かと思います。

次回最終章である短期連載第4回「あなたが考えるのは普通の家? それともお金を生む家?」

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