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太陽熱エネルギー活用型実証住宅

省エネ型住宅で太陽熱エネルギー活用システムを実証へ
―全国11地点で実施、空調・給湯エネ半減を目指す― 2014年6月12日
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 理事長 古川一夫
NEDOは、東日本大震災の被災地を含む全国11地点において、太陽熱エネルギーを活用した省エネ型住宅を用いて、気候区分に適合した、太陽熱エネルギーを効果的に活用するシステムなどの実証研究に着手します。
公募により選ばれた住宅建築会社などが、高性能断熱・蓄熱建材や太陽熱活用システムを実装した住宅を設置し、住宅の消費エネルギーの約6割を占める空調・給湯エネルギーを5割以上削減できる可能性を実証。北海道から沖縄県まで日本全国で有効に機能するシステムであることを確認します。
NEDOのサイト  太陽熱エネルギー活用型住宅の技術開発

実験棟 写真


 

 


完全予約制にて見学対応可能

 

実証住宅は完全予約制とはなりますが、随時見学案内を受け付けております

 

時代の最先端を行く太陽集熱エネルギー住宅の実際を、どうぞご覧くださいませ

 



 

 

 ■大洋建設実験棟…温熱観測データ

概要
本事業では、2011年度から2013年度まで以下に示す3つの研究開発項目について、それぞれ研究開発を進めてきました。
研究開発項目〔1〕「高性能断熱材※1の開発」
研究開発項目〔2〕「高機能パッシブ蓄熱建材※2の開発」
研究開発項目〔3〕「戸建住宅用太陽熱活用システムの開発」
2014年度から2015年度までの2年間で、2013年度までの研究開発成果を踏まえて、各要素技術を効果的に融合させ、省エネルギー効果を実際の住宅に組み込んで検証するため、以下の研究開発項目〔4〕について、実証研究を行います。
研究開発項目〔4〕「太陽熱活用システムの実証住宅での評価」[助成事業(助成率:2/3以内)]
本事業の目標は、2015年度末に、全国の気候区分※3に合わせた実証住宅において、高性能断熱・蓄熱建材及び太陽熱活用システムを実装し、条件を明確にした上で空調・給湯エネルギーが一次エネルギー換算で半減できる可能性を実証することです。住宅のエネルギー消費の中で空調・給湯エネルギーはその約6割を占めており、これを半減することにより、大きな省エネルギーが可能であることを示します。
本事業の目標を達成するために、具体的に以下の事業を実施します。
高性能断熱・蓄熱建材及び太陽熱活用システムを効果的に組み込むための実証住宅モデル※4を設計し、シミュレーション等により建設予定地域の気象条件を考慮して省エネルギー効果を確認した上で、適切な設計変更を加える。
その後、個別の住宅に太陽熱活用システム等を設置し、各要素技術の省エネルギー効果と住宅全体での省エネルギー効果をそれぞれ測定し、経済性も含め評価・検証するとともに、実証住宅モデルにより日本全国の多様な気候に応じて住まいと住まい方の提案を行う。

 

 

研究趣旨及びビジョン
株式会社大洋建設では太陽熱温水給湯システム並びに温水暖房システムを利用した省エネルギー実証住宅を建設し、九州大学など協力を得て実測試験を開始いたしました。
太陽光発電による電力買い取り価格の度重なる値下げや買い取り中止等の先行き不透明な予測情報等、入り乱れる不利益情報を背景として、太陽熱を実生活に有効利用し、自分自身の暮らしに直接役立てようとする考えに注目が集まっています。
このたび独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「太陽熱エネルギー活用型住宅の技術開発」に関する補助事業の採択を受け、国のプロジェクトの一環として取り組みをおこないました。
このプロジェクトは株式会社FHアライアンス(愛知県春日井市)を中心とした全国7社による共同提案により、宮崎から旭川まで、全国での太陽熱集熱利用システムの実用化の可能性を実証するものです。
一般に太陽光発電の変換効率は15%~20%と言われています。現在のところ太陽光発電による電力の買い取り価格は世界的に見ても高水準で推移していますが、今後価格が下がることが予想されます。また買い取り価格の低下に対して、発電したエネルギーを蓄え、実生活において有効利用しようと考えた場合には太陽光発電システム以外に、新たに蓄電などの電力を蓄える仕組の導入に追加コストが必要になります。
これに対して太陽集熱システムは、熱エネルギー有効活用効率50%~70%と高い効果を得ることが出来るのが特徴と言えます。また、太陽光発電システム+畜電システムと比較して設備コストも低く抑えることができます。
地球温暖化防止策としての二酸化炭素排出量の軽減を行うために、太陽熱の有効利用による給湯、暖房に要する1次エネルギーを削減は未来に対する重要な実証研究の意味を持ちます。
今回のプロジェクトにおいては太陽集熱により、住宅エネルギー消費のうち、約60%とも言われるエネルギー消費量を必要とする空調・給湯に要する2次エネルギーを実証住宅において半減することにより、未来に向けた日本の省エネルギー政策に寄与することです。

実証研究の採択テーマと実施予定
今後の予定
実証住宅では、今年2月よりデータ測定を開始しております。また、実証研究と並行して、実証研究で取得したデータを、住宅の省エネルギー基準※5への反映等に活かせるよう関係各所と連携を進めて参ります。
用語の解説
※1 高性能断熱材:通常の住宅用断熱材より2倍程度高性能な断熱性能を持つ真空断熱材等の建材
※2 高機能パッシブ蓄熱建材:PCM(Phase Change Material:相変化材料)を蓄熱材とする建材。(日中の太陽熱を建材内部に蓄熱し、夜間に放熱することで夜間の暖房エネルギーを削減可能)
※3 全国の気候区分:「エネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」に別表4として記載されている気候の違いにより定義された地域区分(1から8まで定義されている)。
※4 実証住宅モデル:複数の気候区分に対応できる実証住宅の基本コンセプト※6に基づいた実証住宅のモデル。(実証住宅モデルの開口部の大きさや断熱性能を各気候区分に対応して変更することで複数の気候区分に対応可能)
※5 住宅の省エネルギー基準:「エネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」
※6 基本コンセプト:太陽熱エネルギーを活用するための実証住宅の間取りやシステム構成等の基本的な考え方